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『スーサイド・ショップ』

  • ロンボン
  • 2016年10月1日
  • 読了時間: 2分

2012(フランス/ベルギー/カナダ)79分 アニメーション

監督:パトリス・ルコント

(あらすじ)不景気で自殺者が続出する陰気な街の中、唯一繁盛している「自殺用品専門店」。その店を営むのは、父・ミシマ、母・ルクレス、兄・ヴァンサン、妹・マリリンのトゥヴァシュ一家である。ある日、全員がネガティブなこの家に男の子が生まれ、アランと名付けられる。生まれた瞬間から笑顔をたたえており、家族全員と正反対のポジティブな少年に育ったアラン。彼はこの陰気な街の雰囲気を変えたいと願い、仲間たちと計画を練り始める。

『髪結いの亭主』などのルコントが監督したアニメーションということで鑑賞。

ブラックユーモアな世界観と「死に抗うのは恋愛と美だ」というシンプルなテーマには好感を持った。また、マリリンが踊るダンスの官能表現は素晴らしかった。

が、先祖代々続く老舗だというわりに、店の主人夫妻が大した理由もなく罪悪感を表明することに違和感を覚えた。そもそもが道義に反する店なのだから、罪悪感を表明するのならば、それでもなお商売を続ける強い動機を示さないといけない気がする。

アランという異質な存在にある種の秩序が乱されていくというストーリーであるのに、アラン、あるいはアランによって最初に心変わりをするマリリンと、両親の対立が描かれないのも残念に感じた。

最後、ハッピーエンドに見えて苦みが残るエンディングであるのは、意外に感じつつも、全体のバランスとしては必要な展開であると思う。

原作は、ジャン・トゥーレという作家の『ようこそ、自殺用品専門店へ』という小説でフランスでベストセラーになり世界20カ国で翻訳されたらしい。

父親の名前がミシマというのが気になっていたが、本の解説によると、「一家の名前はすべて実在する自殺した有名人から取っている」そうだ。

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