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『海がきこえる』

1993(日本)82分 アニメ

監督:望月智光

(あらすじ)大学1年の夏、杜崎拓は吉祥寺駅のホームで武藤里伽子に似た女性を見かける。同窓会のために故郷・高知へと帰省する道中、拓は、その里伽子、そして親友の松野と、過ごした高校時代の日々を思い出してゆく。

スタジオジブリの若手スタッフを中心に、テレビ放映のスペシャルアニメとして制作された。原作は氷室冴子。

どうしても95年公開のスタジオジブリ作品『耳をすませば』と比較したくなってしまう。

『耳をすませば』は当時観て感激し、それからずっと大切にしている作品である。

本作を観て改めて気付いたのは、『耳をすませば』は恋愛譚ではなく少女の成長譚であるということ。だから、私も、聖司が格好良いというよりは雫のように頑張ろうと、観るたび励まされてきたのである。

さて、対して本作は言うと、こちらは恋愛譚である。それも三角関係を描いている。恋愛譚という側面から見ると、主人公はいかにも少女漫画的な人物でこんないい奴いるかよという気がしてしまうし、ヒロインは逆にリアルすぎるというかワガママすぎて、正直どこを好きになったらいいか分からなかった。

しかし、もう二度と戻れない青春を描いた、ノスタルジーが主題だと思って観ると、秀逸な作品であると思う。教室で話す光景、夜に家に掛かってくる電話、親友の変化に戸惑う気持ち、くだらない見栄を張ったり、どうでもいいようなことが許せなかったり、小さくて何気なくて渦中にいる時は絶対に気付かないような感情や出来事が、繊細に描かれている。

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