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『獅子座』

  • ロンボン
  • 2017年2月10日
  • 読了時間: 2分

1959(フランス)103分 白黒

監督:エリック・ロメール

(あらすじ)もうすぐ40歳になろうという獅子座生まれの男・ピエールは、定職に就かず作曲家を自称し気ままな生活を送っている様子。そんな彼に、伯母が亡くなって莫大な遺産が入るとの連絡が来た。ピエールは友人のジャン=フランソワを呼び出し、派手なパーティーを開いたが、数日後、伯母の遺産は全て従兄弟が相続しピエールには一円も入らないことがわかる。ピエールは住んでいたアパルトマンを追い出され、ホテルに泊まっているが、宿泊資金も底を突きそうだ。金を工面しようと奔走するが、ジャン=フランソワは出張中で、他の友人たちは皆バカンスに出掛けてパリにいない。一文無しになったピエールはとうとうホテルからも追い出されてしまう。

けっこう暗いので驚いた。これが初めて観るロメール作品でなくて良かったと思うくらい、途中のピエールの彷徨は息苦しくて辛かった。それだけ見せ方が上手いということなのだろうけれど。後半の展開は落語みたいで、これもまた意表をつかれて驚いた。救いがある終わり方でホッとしたし、皮肉もきいてるというか、ただピエールが不幸になるだけでもなく、恩寵を受けて悟りの境地に達するわけでもなく、面白いと思う。

ピエールの彷徨を観ている時、これは自堕落な生活をしてるとろくなことないぞっていう教訓話なのか?とちょっとつまらない気がしてきちゃったのだけど、追い詰められたピエールがパリを「猥雑な街だ」と罵るのを聞いて、ふと単に気ままなピエールを責めているのでなく、都会のよそよそしさを告発してるのかななんて思ったりした。制度の中にいるうちは守られて安心して暮らせるけど、制度から外れてしまった者は一気に居場所を失う、そんな都会の怖さも感じた。

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