『ロシュフォールの恋人たち』
1966(フランス)124分 ミュージカル
監督:ジャック・ドゥミ
(あらすじ)年に1度の祭を2日後に控え賑わうロシュフォールの街。そこに住む双子の姉妹・デルフィーヌとソランジュは、ともに芸術家でいつかパリに行きたいと願い、素敵な恋人に出会えることを夢見ている。姉妹の母イボンヌはカフェを経営していて、店には、祭のためにロシュフォールにやってきた旅芸人の2人組や兵役中の画家などがやってきている。ソランジュは画廊で自分にそっくりな女性の絵を見付けてその画家に恋い焦がれ、デルフィーヌは道で偶然出会った外国人と恋に落ちる。
音楽と色彩が見事なのは言うまでもないが、話の構成も祭を中心としながら絡まりあった人間関係の糸がだんだんに解けていく感じが楽しくて良かった。最後、ソランジュと画家の出会いはほのめかす程度で終わるが、鑑賞直後はちょっと物足りなく感じて、もっと完全なる大団円が見たいような気がした。あまりにも明るい話でいわばファンタジーなので、『シェルブールの雨傘』の方が好みだけど、色彩が鮮やかな中に暗い軍人たちの隊列が入ってきたり、唐突に殺人事件が起こったりする辺りが、ちゃんと物語に影を落としていて、その点は素晴らしいと思った。旅芸人の一人がジョージ・チャキリスっていう『ウエスト・サイド物語』に出てる俳優だというのはすぐ気付いたのだけど、姉妹の母親役が『輪舞』に出てたダニエル・ダリューだとは!全く気付かなかった!この女優さんはまだご存命で、2002年には『8人の女たち』に出演して80代で歌と踊りを披露したらしい。