『巴里の屋根の下』
1930(フランス)90分 白黒
監督:ルネ・クレール
(あらすじ)パリの街角、アルベールは自作の曲を歌いその楽譜を売って金を稼いでいる。夜、親友のルイと酒場へ飲みに行くと、昼間街角で見掛けた娘ポーラがいた。ポーラは一緒にいた男に鍵を取られ家に帰れなくなってしまう。そこで、アルベールはポーラを自分の部屋に泊めることにする。
解説などではアルベールがポーラを救って2人は恋に落ちたみたいに書いてあるけど、鍵のないポーラをアルベールが泊めてあげた晩は、結局2人ともがベッドでは眠らずベッドを挟んで床に寝るという展開で、そのやり取りがコミカルで面白い。特に前半は全体的にコミカルなトーンで軽い。アルベールの歌がうるさいとイライラしてるおじさんとか、アルベールとルイの友情の表現も面白かった。後半、アルベールが警察に捕まってしまうところからは暗くなる。内容としては、とにかくアルベールが可哀想だけどいい奴でかっこ良いのに対して、私はポーラにムカついて仕方なかった。結局、ポーラはアルベールの気持ちを良い様に利用しただけに見えて嫌だった。映像表現としては素晴らしい点が多く、夜道を歩くアルベールとポーラの足元のショット、ポーラの割れた鏡の使い方、アルベールが2人の新しい生活を期待して用意した品々が警察によって踏みにじられる様などが、特に良かった。