『冬物語』
1991(フランス)114分
監督:エリック・ロメール
(あらすじ)4歳の子供を持つ未婚の母・フェリシーは、5年前にひと夏を過ごし子供の父親となったシャルルのことを忘れられずにいる。が、交際中の恋人・マクサンスが妻と離婚し経営している美容院を郊外へ移転するのについていくことを決断。同棲しているロイックに別れを告げ、子供エリーズとともに引っ越したのだが……。
これは「奇跡」についての物語。ヒロインは、彼女を大切に思ってくれる2人の男を思いっきり振り回すから嫌な女だなと思わなくもないのだけど、結局は、彼女は「奇跡」を待っているのであり、だから教会で啓示を受けたり、シェイクスピア劇を観て感激で泣いたりする。フェリシーが思い出の男・シャルルと過ごした場面は冒頭に3分くらい描かれるだけで、話の中心は5年後の年末の二週間ほどなんだけど、その冒頭に描かれるフェリシーとシャルルがまさに「完璧な2人」といった感じで、あれを観てるからフェリシーと一緒に「奇跡」を待ちたくなる、素晴らしいつくりだなと思う。『忘れじの面影』にちょっと似てると思った。