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『焼け石に水』

2000(フランス)90分 

監督:フランソワ・オゾン

(あらすじ)1970年代のドイツ。20歳の青年フランツは、街で中年男レオポルドに誘われ、婚約者アナとのデートをすっぽかして彼の家へやってくる。他愛もない会話が続いた後、ベッドを共にする二人。これを機に、フランツはレオポルドの家で同棲生活を送ることになる。しかしレオポルドはフランツに対して、だんだん冷たい態度を取り始めていく。そんなある日、アナがこの家のベルを鳴らす。

久しぶりにガツンとくる作品を観た気がする。内容は暗いのに、観終わった後に一切嫌な感じがないのが不思議。唐突な始まり方といい、全編通じて通底するユーモアがあるからだろう。まさに「妖艶な」男・レオポルドの体現力がすごい。すっごい嫌な奴なのに、その魅力の虜となって、その名の通り奴隷的な振る舞いをしてしまう三人の男女。でもそれが、レオポルドを想う者たちにとっては「愛」である以上、悲劇的な展開にならざるを得ない。悲劇の後、それでも後悔や反省の気配を全く見せないレオポルドがまたすごい。そして、レオポルドのために性転換して女性になったヴェラが窓辺で項垂れるラストカットが素晴らしかった。原作は、ドイツの映画監督・ファスビンダーの未発表戯曲。今度、ファスビンダーの作品も観てみよう。

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