『深夜の告白』
1944(アメリカ)106分 白黒
監督:ビリー・ワイルダー
(あらすじ)保険会社の外交員ウォルター・ネフは、深夜に無人のオフィスへやって来て、録音機に自らの罪を告白し始める。二ヶ月ほど前のある日、ウォルターは顧客の実業家ディトリクスの家を訪れ、その妻フィリスと知り合う。フィリスの美貌に一目で恋に落ちたウォルターは、彼女に誘惑されるままに不倫関係に陥り、夫の殺害計画を立てる。
これがノワール、これがファム・ファタルか!といった感じ。特にヒロインがすごい。最初から妖しい魅力満載なんだけど、可憐で純粋な娘のようにも見えるし、なんていうか悪女悪女していないのが、逆に恐い。wikiの解説によると「それまでのハリウッド映画では倫理的に許されないほどの異常な悪女」で演じたバーバラ・スタンウィックは「従来、明るい美人の役柄を得意としてきた」女優であったらしい。ヒーローも「悪女の誘惑に屈して破滅する」「不道徳なアンチヒーロー」ということでオファーに応じる俳優もなかなかいなかったらしい。フィルム・ノワールの古典であり、倒叙型サスペンスの先駆であり、「不倫が動機の保険金殺人」物語の源流である、そうだ。