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『トラベラー』

  • ロンボン
  • 2017年3月30日
  • 読了時間: 2分

1974(イラン)72分 白黒

監督:アッバス・キアロスタミ

(あらすじ)ガッセムはサッカーが大好きな小学生。サッカーばかりでろくに勉強をしない彼に親はお手上げ状態。テヘランで行われる大きな試合を見たいと思い立ったガッセムは、資金を集めるために、親から金を盗み、親友をむりやり誘って授業をさぼり、偽の写真屋に扮して学校帰りの子供たちから金をだまし取ったり、自分のチームのサッカーゴールとボールをライバル・チームに売ってしまったりする。なんとか必要な金を集めた彼は、夜、家を抜け出してテヘラン行きのバスに乗る。

最初に思ったのはトリュフォーの『大人は判ってくれない』に似ているということ。不良少年の物語。この不良少年はかなり悪い。平気で人をだましまくるし、自分がテヘランへ行くことしか考えていない。だけど、観ている間は完全に彼の味方というか、「テヘランへ行ってサッカーを観るためだったら何をしてもいい」という気分になってしまった。子どもの世界ってそういうものな気がする。それで、ラストはそうとう切ないのだけど、でもなんか人生ってこういうものだよなという感慨とともに不思議な清々しさがあるというか。彼があの後どうなったのか、どうやって故郷の村に帰ったのか、無事に帰れたのかどうかもわからないし、彼はろくな大人にならないような気がする。でも、善悪を超えた力強さ、「子ども」が持っている「未来(それは希望でもあり不安でもある)」を感じるからだろうか。この映画には、悪い事したらろくな事にならないよという道徳的な教訓話という解釈もあるようだけど、正直それはほとんど感じなかった。悪ガキだろうが、ラストが不幸だろうが、彼テヘランへ行く必要があったのだと、そう思う。

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