『小さな兵隊』
1960(フランス)88分 白黒
監督:ジャン=リュック・ゴダール
(あらすじ)ブリュノは表の顔はカメラマンであり、裏ではOAS(フランスの秘密軍事組織)のメンバーでもある。彼はジュネーブでの仕事を終えた後、友人からヴェロニカを紹介され一目惚れする。ところがまもなく、スイスのジャーナリスト・パリヴォダを暗殺しろという命令が出る。ブリュノは拒否したが、OAS側は、どこまでもブリュノに暗殺実行をせまる。仕方なくパリヴォダをつけまわしたが、どうしても射つことが出来ない。その結果、OAS側の裏切者として、こんどは自分がOAS側から狙われる身となってしまった。同時にFLN(民族解放戦線)側からも危険人物として狙われて捕えられてしまったのである。
今まで観たヌーヴェルバーグ関係の作品の中で、最も当時の社会背景が重要な作品だったので、勉強不足に唸りつつ鑑賞。政治をダイレクトに扱ったため、公開までに3年掛かったそうだ。とは言え、社会派・悲壮というタッチではないし、教訓めいたところも全くない。政治問題、歴史的事象を背景として、浮かび上がるのは男女の恋愛である。この恋に中身なんかない、いつ死ぬともわからない状況の中で目の前にいる美しい女に恋をしただけ。筋としてはかなり悲劇的な結末にも重さをあまり感じない。作品の評価や出来不出来とは関係なく、ブリュノという男のキャラクターが嫌い。アンナ・カリーナは美しい。