『マグノリア』
1999(アメリカ)188分
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
(あらすじ)自己啓発セミナーを主催しているフランク・マッキー。ドラッグ&セックスに溺れているクローディア。30年以上続くテレビクイズ番組の司会者ジミー・ゲイター。そのクイズ番組に出演している天才児スタンリー。かつての天才児で今は冴えないオヤジになったドニー。寝たきりの老人アールとその看護人のフィル、そして老人の若き妻リンダ。恋人募集中の真面目な警官ジム。彼ら9人の24時間を描いた群像劇。
有名だし観てみるかくらいの気分で鑑賞。借りた後で長いことに気付いて構えたのだけど、長さを感じさせない作りが圧巻だった。特に冒頭から1時間くらいのスピード感がすごい。観客を理解させることよりも飽きさせないことを優先したのだろう。正直、始めは細かいことが全然わからないのだけど、おかげでかえって興味が持続して退屈さを感じない。背景も現況もバラバラの登場人物、しだいに絡み合っていくとはいえ、抱えている問題は様々。それを音楽でエモーションをつないで見せているのが上手い。一ヵ所、全員が同じ歌をうたう、ミュージカルのようなシーンがあるが、そこがまさに象徴的だった。起承転結というか、感情のアップダウンは一つのまとまりとして表現している構成もよく出来ている。あとは、トム・クルーズの演技が素晴らしかった。