『彼女について私が知っている二、三の事柄』
1966(フランス)90分
監督:ジャン=リュック・ゴダール
(あらすじ)1966年8月、パリ郊外では、新首都圏拡張整備計画に従い公団住宅の建設が進んでいる。そんな公団住宅に住む主婦ジュリエット、彼女は2人の子どもと夫と暮している。夫ロベールは、無線好きで、今朝も友人と一緒に無線の受信に興じている。夫がガソリンスタンドでの仕事に出掛けた昼間、ジュリエットは売春宿に行くと、そこに子どもを預け、洋服屋で買い物をしたり、カフェで男を探したりする。
当時の週刊誌に掲載されたアンケート記事から着想を得て、主婦売春についてドキュメンタリー・タッチで描かれた作品ということは、なんとなく知りながら観始めたのだが、正直難しくて、途中で眠くなってしまった。あらすじを読んだ上で再度見直して、なるほどストーリーは平たく言えばジュリエットの一日を描いているとわかったが、これはストーリーを追う作品ではない。じゃあ、何を感じ取ればいいのか、それは2回観たくらいじゃ何もわからないかも。ナレーションというにはあまりにも聞き取りにくいというか、聞かせようとは思っていないような、囁き声が全編通じて入っていて、それは社会や政治について語っている。主役ジュリエットをはじめとした多数の人物がカメラに向かって話し掛ける、それは頭の中の言葉なのかな。断片の集積が「何か」を生む、その「何か」を固定しすぎないように、なるべく断片を断片のままに置こうとした試みのように感じた。