『パームビーチ・ストーリー』
1942(アメリカ)87分 原題:The Palm Beach Story 白黒
監督:プレストン・スタージェス
(あらすじ)結婚5年目のトムとジェリーの夫婦。トムは空中飛行場を発明したが資金が集まらず実現できないでいる夢想家のため、2人の暮らす部屋は家賃滞納で空き室扱いにされてしまい、ある日部屋を内見に老夫婦がやってきた。家にいたジェリーは夫の方と鉢合わせ、男はソーセージで大金を儲けた成金で、ジェリーを気に入りお金をくれる。もらった金で家賃や借金を全て清算したジェリーは、その晩、トムに離婚を切り出す。
冒頭からずっとドタバタが続いて、あっという間にハッピーエンドという感じで、最後もビックリなくらいの決着のつけ方ではあるけれど、全く中身がないのかというとそんなことはない。自ら離婚を切り出し新しい恋に向かおうとするジェリーだが、始終トムが気に掛かっているのがわかるので可愛らしい。夫婦の愛情は大げさでなくさらっと描かれるが、きちんと伏線が機能して上手いなあと思った。ジェリーが途中で出会う大富豪とその姉の侯爵夫人はちょっと滑稽に描かれすぎではと思ったけど、単なる間抜けとも違うので、それほど気にならなかった。それよりも、侯爵夫人の相棒のような存在であるトトの扱いがひどいなとずっと気になったけど、ラストシーンで楽しそうに微笑んでいたので、そういう存在なのねと納得。ラストでトトをいなくならせるのではなく、きちんと配置してあるところが素晴らしいと思う。