『キリクと魔女』
1998(フランス)71分 アニメーション
監督:ミッシェル・オスロ
(あらすじ)アフリカのある村で、ある日、男児が母親の胎内から自力で生まれ出てきた。彼は自らキリクと名乗り、母親に次々と質問を投げかける。母の言うところによると、村の男たちは皆、魔女のカラバに食べられてしまい、また、魔女の呪いで泉は枯れ、黄金も奪われてしまったらしい。キリクは、自分の叔父が今まさにカラバと対決しに行こうとしていると聞き、その元へ駆けつけ一緒に戦いに行くと言うのだが……
英雄神話や説話のような物語で寓意に満ちていて示唆的な話なのだが、そういう深さとは別に、表面的なコミカルさがあって、そこが良かった。キリクと動物たちが交流する場面、おじいさんとの対話など、心に残るシーンがたくさんあった。カラバとの直接対決の後、キリクのする選択に驚くとともに感心した。結末において、キリクが成長することは必然であり喜ばしいことなのだが、映画のコミカルさはキリクが赤ん坊であるということ、その物理的な小ささに負うところが大きく、赤ん坊のキリクをずっと観ていたいという思いも残った。フランスでは関連グッズの売れ行きを含めて一種の社会現象となったらしいが、赤ん坊キリクのグッズなら、ちょっと欲しいなと思った。