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『恋人』

1951(日本)72分 白黒  

監督:市川崑

(あらすじ)初老の夫婦2人で暮らす小田切家をカメラマンをしている若い男・誠一が訪ねてくる。夫婦は誠一を快く迎え入れお茶を出す、と、誠一が突如改まった口調で「この度は京子さんのご結婚、おめでとうございます」と祝いの言葉を述べる。その後、空になった京子の部屋で一人物思いに耽る誠一に、小田切の妻・節子は「あの日、京子と何かあったんでしょ?」と語りかける。あの日とは、一週間前、京子の結婚式の前日のことで……

女性が結婚式の前日に幼なじみ?らしき男性の友人と一日を過ごす物語で、それを女性の両親が見守っているような構成が面白かった。台詞で海外暮らしをしていた事があるとわかる娘の両親は互いを「パパさん」「ママさん」と呼び合い、結婚式の前日に男友達と「ランデブーに行く」と言って出掛けて行く娘を笑顔で送り出す、ユニークな夫婦である。そのキャラクター造形だけでも興味深かった。また、想い合っている様子なのにすれ違って行く、或いは男女の想いの強さには微妙だけれど決定的な差があるのかもしれない、そんな切ない恋愛を描くと同時に、娘を嫁に出した両親の寂しさを娘の友達との交流を通して描いているところがとても良かった。

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