『スーパー!』
2010(アメリカ)96分
監督:ジェームズ・ガン
(あらすじ)冴えない中年男フランクが唯一自慢できるのは、美しい女性サラと結婚できたこと。ところが、そのサラがドラッグディーラーのジョックと浮気し、家を出て行ってしまった。絶望の中、神の啓示を受けたフランクは、サラを取り戻すため正義のヒーローとなって悪と戦うことを決意。自作のコスチュームを身にまとい、スーパーヒーロー“クリムゾンボルト”に変身した彼は街へと繰り出し、工具のレンチを武器にチンピラ退治を決行する。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の監督であるジェームズ・ガン作品ということで鑑賞。これは問題作。『ガーディアンズ・・・』と同じでコメディテイストではあるので思わず笑ってしまう場面ばかりなのだが、いちいち気まずいというか、でもなぁ笑っていいのかなぁという思いに付きまとわれる。主人公のやっていることは、正義の行動というよりただの暴力という側面の方が強いので、「これはダメ」と断罪することも出来るのだが、「ダメ」とは言い切れない切実さがフランクにはあって、演じている役者さんの佇まいの見事さも相まって、どうしても主人公を突き放せない。
最後の方は、もはや現実ではなく主人公の心象風景なのではないかと、私は思った。
観終わった後も、繰り返し、何かを考えさせられる作品である。