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『ボヴァリー夫人』

2014(ドイツ/ベルギー/アメリカ)118分 

監督:ソフィー・バルテス

(あらすじ)医師チャールズ・ボヴァリーと結婚した修道院出の少女エマは、新たに始まった生活が思い描いていたようなロマンティックなものとは程遠いことに気付く。田舎暮らしと凡庸な夫に退屈したエマは、隣人の美しい青年レオンに惹かれ始める。レオンもまたエマに情熱的な思いをぶつけるが、人妻という立場はかろうじてエマの恋心を押しとどめ、思いは実ることなく、彼は都会へと旅立ってしまう。再び孤独になったエマは、ほどなくして雇い人を夫のもとへ診察に連れてきた資産家のマルキと出会う。

少し前に小説『ボヴァリー夫人』を読んだので鑑賞してみた。最初の方のシークエンスでエピソードのかいつまみ方が性急すぎる気がして、早くも不安がよぎったけれど、最後まで観てみてうまくまとめているなと思い直した。レオンとの恋の進展具合や侯爵家への訪問を狩りに変更した点などは面白かった。でも、エマの死に様を見て思いを強くしたけど、この監督はエマに優しい気がする。原作ものの映画化は、あくまで作品に対する一解釈の提示が主眼だと思うから、この監督の解釈と私の解釈は合わないなあというのが一番の感想。原作の主要エピソードはちゃんと拾ってあると思ったけれど、なんか大事なものが抜けている気がする。夫の描写かも。エマの周囲の人間の描写が全部足りない気がするけど、特に夫の描写が私の抱いていたキャラクターと最も齟齬があった。改めて、原作の最初と最後が、エマ本人ではなく、夫と周囲の人間の描写になっていることにハッとした。

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