『柔らかい肌』
1963(フランス)118分 白黒
監督:フランソワ・トリュフォー
(あらすじ)著名な評論家のピエール・ラシュネーは、講演のためにリスボンへ向かう飛行機で出会ったスチュワーデスのニコルとホテルで再会し、翌日彼女を誘い出して食事をする。その晩一夜をともにした2人は、逢瀬を重ねる。ピエールには妻子がいるため、容易に会えないことを気に病んだ彼は、地方講演の仕事を引き受け、一緒に田舎旅行へ行こうとニコルを誘う。
三面記事になった実在の事件を題材にしているらしいと後で知って、最後のやや意外な展開はそのためかと納得。この作品はヒッチコック風のサスペンス調なのが特徴であると解説されていたが、確かに、冒頭の空港に向かう所からかなりスリリングである。ラシュネーがメモを手帳にしまう手元が強調されたりと意味深なカットが多い。サスペンス調で描かれることで、ラシュネーの妻にバレやしないかという焦燥感やニコルに嫌われやしないかという不安が演出されている。ラシュネーの眼鏡使いがとても良かった。特にラスト間際、ニコルとの別れの後に掛ける眼鏡が最高。