『リップヴァンウィンクルの花嫁』
2016(日本)180分
監督:岩井俊二
(あらすじ)派遣教員として働く皆川七海は、SNSで知り合って付き合うようになった鶴岡鉄也と結婚することになる。七海は、結納の席で両親の離婚を隠し、結婚式では親族や友人の代理出席を依頼する。教師の職を失った七海は専業主婦となるが、掃除中に女性物のアクセサリーを発見、代理出席を手配してくれた何でも屋の安室に浮気調査を依頼。その矢先、鉄也の浮気相手の恋人と名乗る男が七海の家を訪ねて来る。
主人公・七海がどんどん落ちていくのは序章にすぎなくて、Coccoが出て来たあたりからが本題といった感じ、長くなるのも仕方ないなと思いつつ、やっぱり前半はたるいかも。ラスト間際に傑出した素晴らしいシーンがあって、それを観れただけでもこの作品を観た意味があったと思う。今まで味わったことのないような感情を体感した。黒木華もCoccoも素晴らしいのだけど、特にCoccoの演技は初めて観たので感激だったが、綾野剛が良かったなあ。あからさまな冗談とかギャグではなく、会話とか日常のやり取りで笑ってしまう場面がけっこうあって、例えば結納の席で鉄也が「ママ」って言った瞬間とか、本人には「普通」の行為だからこそ周囲には「滑稽」に映るような場面がたくさんあって、それがすごいなあと感心した。